2010年2月19日琉球新報朝刊
「検視官臨場率全国一位」
まぁ内容に関して言うこととすれば…1985〜88に起きた「トリカブト事件」の一文。
『トリカブト殺人事件は当初、急性心筋梗塞とされたが、解剖によりほぞんされた血液や臓器の分析でトリカブトによる中毒と判明した。検視や解剖が死因を究明した重要な事例だ。』
とある。
…当初、沖縄の警察や検察は心筋梗塞と新聞社に発表(新聞社がこれを記事にするのもある意味皮肉)しある東京の法医学者の方が疑問に思い、遺体を保存しておくように問い合わせ、再検査する事になった…。これが真相である。
まず、この方がアクションを起こさなかったらただの変死体で片付けられていたはずである。
すると、当初心筋梗塞とされた遺体からテトロドキシンが検出され、遺体が真夏前であったためもあり腐敗が妙に遅かった…のだそうだ。
そして、遺体は心筋梗塞とされていたが、心筋梗塞の後はなく、変わりに血管が拡張するという症状が起きていたそうだ。
また、当初、この毒物を特定するのに時間が掛かったそうだ。
被害者は女性で犯人はその夫。テトロドキシンとトリカブトを口に入れるなんて信用のおける殺害方法は夫婦間でしか出来ない。しかし、驚くべきことにこの夫はトリカブトの遅延性の毒物である事とテトロドキシンの即効性の毒物であることに気が付きマウスで実験を繰り重ねていたという、法医学ではあり得ない方法であった。
つまり、この事件の肝はここにある。
だからこそ、地域で起きた殺人事件であり有名になったのはここなのである。
しかも、沖縄の検視は「ただの心筋梗塞で片付けようとした」のである。
更に言うならば検視官の人数がただ増えれば良いというわけではない。もっと大事な部分は『あらゆる殺人や事件、事故での死因パターンを追究出来る事や人』を作らなければならない。
尚、トリカブト事件の琉球新報朝刊での取り上げ方は県出身者の手柄である…という言い方は甚だ遺憾に感ずる。
また、本件の詳しい情報は02年に発刊された『死体は語る』より引用させていただきました。
著者の名前を忘れた事は申し訳なく思いますが、琉球新報社の記者がこの程度の追究しか出来ないのであればいくらでも噛みついて差し上げようとも思います。
悪気はありませんが、真実を追究する事こそジャーナリズムであり個人でも出来るのではないだろうか?
データなんぞに頼らなくとも、重要な事件や事例は数値ではなく過程を示さなければならないこともある。
今回は過程を示さなければならないことと、法医学に携わるものへの「穴」を突いただけである。
もし関係者がこのブログを見ていただけるならば幸いである。
その分気を絞めようと感じていただけるならば幸いだと私個人は思う。